「美しい木」の風景
南イタリアに広がる独特の形の家々。街の名は、アルベロベッロ。「美しい木」という意味です。ここには「トゥルッリ」と呼ばれる住居が続きます。その風景からこの名前がついています。
ピースボートでは、バーリという港町からの訪問になります。
1つの部屋に1つの屋根
とんがり屋根に白壁の家屋。トゥルッリはひとつの部屋にひとつの屋根があり、その部屋がいくつか集まり、部屋の数だけ屋根を持った1軒家です。ちなみに内部はカーテンなどで仕切り隣の建物と繋がっています。つくりは石を積み上げて石灰を塗り、さらに石を積み上げた屋根を載せた簡単なものです。1つの部屋を「トゥルッロ」と呼び、それが集まり集合体で「トゥルッリ」。現在、アルベロベッロには1000以上のトゥルッリがあります。
人々の知恵
何故このような形をしているのでしょうか?
15世紀、この地域はナポリに支配されていました。この地方を統治していた伯爵はケチでした。家の数で税金を取られていたので、役人がやってくる度に屋根を解体させて「屋根がないのでこれは家ではない、税金を払う必要がない」と言って税金逃れをしていたそうです。住人は何度も壊す羽目になり大変。そこで考え出したのが、壊しやすく直しやすい石を積み上げるだけの屋根でした。
またこの地域は雨が少ないので、壁を二重にして、屋根から流れ落ちる雨を床下の貯水槽に集めるなどの構造になっています。また室内を明るくする為に白壁になっています。
屋根にはシンボルの絵が描かれています。トゥルッリの明確な起源は明らかになっていませんが、この地域しか見れない風景を楽しみながら、メルヘンな世界遺産に飛び込んでみてください。