「アプラヴァシ・ガート」「ル・モーン山の文化的景観」(モーリシャス)

【海の中の滝!?】

「インド洋の貴婦人」

インド洋に浮かぶ島国、モーリシャスの海はとても美しく、また海の中に滝が落ち込むような絶景が広がります。海はもちろん、高原や峡谷なども残る自然豊かな島です。

この美しい島には、過去の暗い歴史の中で生まれた2つの世界遺産があります。

まずは、ピースボートクルーズで訪れる首都ポート・ルイスの港からほど近い場所にある「アプラヴァシ・ガート」です。

 

【奴隷制度が終わったが

奴隷制度廃止にともない、イギリス政府がインドからの移民を受け入れる制度を設け、労働者を受け入れるために使用された建造物です。現存する施設は1849年に建てられたもの です。

90年の間に 約50万人の労働者が、この移民の波止場、病院、厨房、 検疫所などとして使われていたアプラヴァシ・ガートから農園などの職場に送られました。

インドからの労働者は「クーリー」と呼ばれ、現在でもモーリシャスの人口はインド系住民が過半数を占めています。

現在は、モーリシャスの移民の歴史や当時の人びとの労働、暮らしを学ぶことができる博物館になっています。

 

【圧巻の大きな岩山】

もう1つの世界遺産は、島の南西部の小さな半島にあります。

そこに海からどーん!とそそり立つ山が「ル・モーン山」です。

その周辺の景色が「ル・モーンの文化的景観」として世界遺産に登録されています。

モーリシャス島は、16世紀初頭にヨーロッパ人に「発見」されて以来、オランダやフランスが統治し、1810年にはイギリスが占領しましたが、その支配下で多くの奴隷が逃亡を試み、このル・モーンに隠れて生活していました。

 

【悲しき岩山】

その後、奴隷制度廃止が宣言され、警官隊がル・モーン山へそのことを告げに行きました。警官隊は「君たちは自由になったのだ」と呼びかけましたが、自分たちを騙し討ちにしようとしていると思った奴隷たちが、ル・モーン山の崖から飛び降りて亡くなったといわれています。

この美しき島から想像もつかないほどの、暗い過去があることも知ってみてください。

 

さんこん